2017年7月24日月曜日

弦楽四重奏 死と乙女


2017年7月15日
夕刻から新大久保のスタジオ・ビルトオージという小さなホールで弦楽四重奏 モーツアルトの第14番「春」とシューベルトの同じく14番「死と乙女」を聴いてきた。

演奏は最近聴く機会の多い高木弾君の属する【カルテットカッツェ】
(ヴァイオリン:高木弾・八巻由里子、ヴィオラ:矢澤麗子、チェロ:塚本慈和)
一緒に聴きに行ったのはいつもの音楽仲間四人とだ。

捜し歩いたホールは地下1階のキレイだが50人も入ると一杯になるようなホールだった。
後で聞いたら当日は70人をギューギューに詰め込んだそうだ。
どうりで狭くて暑いはずだ。
自由席ということで気持ち早めに行ったら、なんと一番前の真ん中が空席になっていたので、ちょっと迷ったがその席に座らせてもらった。
ファーストヴァイオリンのイスから2メートルと離れていない。

そんな訳で出だし好調から始まったが、やはり真ん前の真ん中の席となると音の量と質が違う。

それはモーツアルトが始まってすぐそう思った。
ヴァイオリンの弦と弓が触れ合う微妙な弱音や、持ち物が震える程のチェロの低音、今まで聴くだけで見えていないCDではヴァイオリンとチェロのオマケのように聴いていたヴィオラの音が見えることで生き生きと聴き取れた。

モーツァルトは確かにモーツァルトの作曲でモーツァルトらしさに溢れていた・・・だが久し振りに音楽魂を揺す振られたのはシューベルトの「死と乙女」だった。

勿論、昔から好きな曲で若い頃は名演奏と云われるレコード盤を借りて来てはよく聴いたが、ここしばらく聴く機会はなかった。
それが・・・最初の強音からガンガン直接響いてくる。
シューベルトにしては無駄な旋律の一切ない音の連続が張り詰めた緊張感を持って途切れることなく続く第1楽章 曲名の第2楽章変奏曲 第3楽章スケルツォ そして終楽章ロンドに続いた。
絶望感・諦感・束の間の愛らしい哀感・闘争心、まるでシューベルトの短い人生のような疾走感が綯い交ぜになって全身に響く。
『ああ、このまま終わることなく永遠に続けば良いのに』と思う数少ない演奏だった。
元々シューベルトにはそうした名曲がいくつか有る。

それにしても終わって思ったのは、名曲・名演と言えども聞く側にも体調・タイミングがある。
その上で久し振りに出会えた至福の瞬間であった、ということだ。

演奏者の皆さん 有難う!。



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